新着情報

研究室配属事例ご紹介:6年次基礎臨床研究室配属

<研究室の紹介>
平成28年度から、次世代医療研究開発講座は、ARO次世代医療センターと連携して、新しい医療を開発する教育・研究・支援業務を推進しています。

【1】

研究課題:医療イノベーションにおけるシーズ発掘・知的財産・産学連携・国際連携の現状と展望に関する研究

受け入れ人数:3名

担当教員:杉山、安藤、塩塚、一鬼、川島、小島、Swain、峯、米川)

シーズ発掘マネジメント: 
新規の治療法/治療薬を開発するトランスレーショナルリサーチや臨床研究等の探索的先端治療開発の実践現場の現状や問題点を理解し、臨床応用を念頭に置いた基礎研究の重要性と臨床研究へ至るプロセスを学ぶ。研究者の発想を整理し、多角的な視点から様々な解決策の提案を可能にするため、医薬品/医療技術の開発における課題・患者や社会(医療上及び経済上)のニーズ・最新の基礎研究成果を基にした先端的治療の取り組み等の情報収集から、実用化に繋がる有望シーズの見出し方やその育成・企画手法といったマネジメントシステムを検討する。

知的財産マネジメント: 
知的財産に関する施策・基礎知識(特許法の目的、権利、存続期間、管理、手続き、特許要件、新規性、進歩性、先願主義)・知財の取り扱いと活用・先行技術文献調査、さらに利益相反・研究倫理・科学技術政策動向等の必要とされる知識を修得した上で、現状の課題から大学における知的財産マネジメントを学習する。治療薬や治療法を開発・実現するためのプロセスとして、事業趣旨や申請内容を踏まえた最適な知財の取り扱いについて検討する。

産学連携マネジメント: 
仕組み/制度(受託/共同研究、寄付、学術指導、組織的連携、技術移転、MTA、NDA、治験)・技術移転機関・手続き・広報/イベント開催等をOJTを通じて学んだ上で、研究内容により異なる産学連携の手法をとり、社会的要請の大きい取り組み事例に即し、その課題とあり方について検討する。具体的に、企業と研究者の研究プロジェクトに対する要望を聞き、方向性を整理し、実現に向けた交渉・仲介を行う。

国際連携マネジメント: 
アカデミア発の医薬品・医療機器・診断薬の候補である九大内外の有望なシーズを取り扱い、医療イノベーション推進の最先端を行く米国立衛生研究所(NIH)国立先進トランスレーショナル科学センター(National Center for Advancing Translational Science)、およびアジアの中でも質の高い基礎・臨床研究を誇る台湾のAcademia Sinicaや国立台湾大學との連携を通じて、シーズの効率的な実用化に向けての開発戦略、コミュニケーションの手法を学ぶ。本研究を通して、国際的な視野に基づいた開発戦略の策定、円滑なコミュニケーション能力の強化を行う。

【2】

研究課題:疾患の治療薬・診断薬の開発研究

受け入れ人数:1名

担当教員:杉山、Kulkeaw、湯岑

細胞株などを用いたin vitroでの実験系を主として、疾患の診断薬開発、創薬分子標的同定、再生医療に応用可能な生理活性ペプチドの開発を行う。本研究を通して、分子生物学実験、遺伝子・タンパク質発現解析実験、細胞培養など基本的な実験手法を学ぶとともに、研究計画の立案から論文作成まで一連の過程を経験する。また、研究の進捗・成果についてプレゼンテーションを行い、教員とのディスカッションを通して科学的・論理的な考え方を身に付ける。

【3】

研究課題:3Dプリンターを応用した医療機器プロトタイプ作製

受け入れ人数1名

杉山、安藤、米川、田村

臨床現場で着想したアイデアを具体的な形にデザインするプロセスを学び、3Dプリンタを用いたラピッドプロトタイピングを行う。教員とのディスカッションにより、事業化の視点も含めた検討とプロトタイプ改良を繰り返し行う。

【4】

研究課題:分子細胞調整センターの現状と展望に関する研究 

受け入れ人数:1名

担当教員:岡崎

iPS細胞の発見に代表される再生医療の昨今の隆盛から、大学において医師自らが治験薬の製造を行うという新たな挑戦が始まってきた。それにより2014年の薬事法改正の流れを生み、GMP/ 再生医療新法/GCTP という特定細胞加工物の製造に関する新たな法整備が行われることになった。 従来の医学教育の中では扱われてこなかったこれらの新たな分野に対し、医療従事者は今後その基本的概念を理解することが要求されている。九州大学病院 分子細胞調整センター(MCPC)では2007年以降、多岐にわたる再生医療に用いる特定細胞加工物の製造実績を重ね、特に国内のアカデミックでは極めて少ない遺伝子ベクター製剤を可能にするP3封じ込めユニットを併せ持つ。
この無菌的細胞加工施設MCPCでの現場の経験を通じて、各種管理文書(特定細胞加工物標準書など)の作成から実製造工程に至るまでの品質保証システムを理解し、品質リスクマネジメントへの応用を通じて、目まぐるしい速度で進歩する現在の先進医療の課題とその解決の方向性について、科学的・技術的な観点からの考え方を学ぶ。


<配属した学生からの声>  

「6年次研究室配属を終えて」

九州大学では5年次のポリクリで『ARO次世代医療センター』と題された珍しい実習がある。班ごとに模擬的な臨床研究を計画して模擬プレ審査に望むという、将来医師として何らかの形で関わるであろう「臨床研究」に焦点を当てたものだ。私が6年次研究室配属で選ばせていただいた 「次世代医療研究開発講座」は、そのadvanced courseとも言うべき実習であり、トランスレーショナル・リサーチ(基礎研究→非臨床研究→臨床研究→実用化)の臨床研究以外の部分に触れることが出来る。医師として誰もが関わるという訳ではないが、2015年にAMED(日本医療研究開発機構)が設立され医療イノベーションの機運が高まっている昨今、これらを俯瞰しながら各分野で活躍する人材への需要は間違いなく高まっている。
私はこの実習の中で、以前より取り組んでいた「基礎研究」を進め、何とか海外雑誌投稿にこぎつけることが出来た。先生方の多くのご指導により、基礎研究におけるデータの大切さと、何よりも研究者の努力する姿勢というものを学んだ。「非臨床研究」の部分では、眼科領域における医療用医薬品をリードする参天製薬の奈良研究開発センターを見学させて頂き、基礎研究から生まれたシーズが臨床に届くまでを勉強した。そして、医学生がなかなか触れる機会のない「実用化」へ繋がる場として、BioPharmaとMedtechという展示会を体験した。ここでは自らの活動についてヒントが得られたように感じる。
このように、臨床以外に知見を広げたい、人とは違うことがしたいと考えている学生にとっては良い経験が出来るのではないだろうか。研究室では実習内容について柔軟に対応して頂ける。可能であれば、事前にどのようなことが学びたいという目的を伝えておいたほうが良いだろう。併せて、同研究室が主催しているEDGEプログラム『医学系イノベーション人材育成事業』では、実用化フェーズについてより実践的なプログラムが用意されているのでお勧めしたい。最後に宣伝となり恐縮だが、私の所属している『Medical Innovation Club』では学生が主体となり、研究の前段階である「アイデア」と、実用化の先にある「事業化」を医療の視点から実践しようと試みている。もしも興味を持った方がいれば、話だけでも聞きに来て頂ければ幸いだ。

医学科6年 小出 遼平

 

産学連携ってよく聞くけれど一体どんなことをしているのだろう、というのがこの研究室を選んだ動機でした。「医療イノベーションにおけるシーズ発掘・知的財産・産学連携・国際連携の現状と展望に関する研究」の課題を選択し、当研究室が発見したヘモグロビン異常症の鍵を握るタンパク質をどのように実用化に繋げるか、というテーマに取り組みました。疾患やタンパク質の動態に関する勉強にはじまり、患者の分布状況や市場性、開発する薬剤の形態、協力企業のリストアップ、特許取得や薬事承認までのステップなど、考えなければならないことがたくさんありました。どれも耳にしたことがある程度のことばかりで、初めのうちは苦戦しました。研究室にはさまざまなバックグラウンドを持った先生が揃っていて、医学はもちろん、知財戦略、臨床試験、国際連携など様々な視点から講義やアドバイスをして下さったおかげで、だんだんとイメージがつかめるようになりました。期間の後半には、奈良にある製薬企業の研究所や、東京で行われた医薬品展示会を見学しました。展示会では薬の包装や医療機器の部品など、普段は意識することが少ないところにも数多くの企業が関わっており、医療現場を支えていることに驚きました。
幅広く様々な体験をすることができて、充実した一か月を過ごすことができました。

医学科6年 喜多貴信


<研究室配属 実際の様子>

6nenji02

6nenji03

6nenji01

6nenji04